今までなかなか手が出なかった映画を見てしまおうと思って、『ブロークバックマウンテン』と『シッピングニュース』を借りてきた。両作とも監督がいいってことで常に頭の片隅にはあったものの、なんやかやとあって未見でした。
今日は『ブロークバックマウンテン』を。
結論から行くと、各種映画賞を総なめにしたというフレコミ通りの快作かといえば、そうでもない。透明感のある映像美は一見の価値ありだが、もうちょっと音楽を効果的に使えるんじゃないだろうかという気がした。まあ、総合的に見ればなんとか「佳作」といったところ。
ぎりぎりのところでこの映画を救っているのは、この物語が「言葉に置き換えられないもの」を主題に扱っているという点。それが映画の深みになってる。
主人公のイニスとジャックはそれぞれの生活を持ちながら、会えばその度に男同士の情を重ねてゆく。それは情欲であり、友情であり、そしておそらくは愛である。しかし、二人はとうとう、お互いの関係を表す言葉を見つけられない。それはきっと、言葉を越えた先にこそ、求めるべきものがあるのだということを、この二人、イニスとジャックが無言のうちに了解していたからだと思う。そして、それこそが監督であるアン・リーの伝えたかったことだろうとも。
ただね、ちょっと長く感じるんですよね。